アップルとスティーブ・ジョブズを語るための20冊

スティーブ・ジョブズが逝去してから、早1年以上が過ぎた。

ジョブズは、僕らの生活をまるごと塗り替えてしまったITの革命児として、神格化、伝説化されてしまった。しかし、その現象はわずかここ数年のことに過ぎない。

僕が月刊アスキーでアップルを担当していた1996年から1997年にかけてジョブズがアップルに復帰したが、その頃の一般マスコミの扱いは「創業者が自分の会社に出戻った」という程度のもので、むしろジョブズがマイクロソフトから資金を引き出したことをアップルがマイクロソフトに買収されたかのように「アップル全面敗北」なんて、日本の大手新聞社はデカデカと見出しを踊らせていた。

当時のMacの市場シェアは4%とも2%とも言われ、マイクロソフト+インテル+PCメーカー各社の大連合を前に、とうてい太刀打ちできないと思われ、“アナリスト”は、いずれMacはLinuxにもシェアを抜かれて縮小の一途を辿ると予言していた。

その後、iMacやiPodのヒットでアップルは次第に輝きを取り戻し、iPhoneとiPadによってマイクロソフトを抜いて世界最大の企業価値を持つ会社に成長した。ただ、15年前のジョブズの評価がそれほど高くなかったのは、そんなに不思議なことではない。

その時点でジョブズは、強烈なこだわりによって革新的な製品をいくつか世の中に送り出してはいたが、経営者としても人間としても、エキセントリックすぎる人間として評価が定着していた。

 

また、テクノロジーのビジョナリとしても、必ずしも的を射てばかりではなかった。

  • 最初のヒット製品だった「Apple Ⅱ」は7つの拡張スロットによる柔軟な拡張性によってロングセラーとなったが、開発当時、ジョブズは「接続するのはプリンタとモデムぐらいだから拡張スロットは2つもあれば十分」と主張していた。
  • 最初のMacintoshを開発するとき、ジョブズはネットワーク機能は必要ないと主張した。ジョブズはLANを企業的な管理主義の象徴とみなし、個人のためにコンピュータであるMacintoshをLANにつなぐことを拒絶した。そのため後年のMacは低速なシリアル通信によるネットワーク機能に依存せざるを得なかった。
  • ジョブズは映画産業向けにコンピュータ・グラフィックス専用ワークステーションを販売する会社としてピクサーを設立したが、このビジネスも失敗し、ジョブズは破産寸前だった。

ジョブズの失敗談はいくらでもある。それはジョブズを功績を貶めるものではなく、彼が人よりもたくさんのチャレンジをした結果、成功を収めたこと。そしてジョブズを神格化することの無意味さを僕らに教えてくれる。

もし、ジョブズとアップルに学ぼうというのなら、手軽にまとめられた要約本などではなく、丹念に人々と技術の歴史を追った本を読んだ方がいいと思う。そこには、たくさんのチャレンジとたくさんの失敗と一握りの成功からなる物語がある。

というわけで、ジョブズとアップルについて語れる20冊を集めてみた。どれから読むべきか? というと講談社の公式本『スティーブ・ジョブズ』はいマストだと思うのだが、僕としては『未来を作った人々』と『スティーブ・ジョブズの道』、そして『コンピュータ帝国の興亡』を読んでほしいなあ。あとの2冊は入手困難なようですが、図書館や古本で見かけたらぜひ。


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