さくら学院の「今だけ」感が凄い話

2月15日、恵比寿のリキッドルームで行われたさくら学院のバレンタイン・ライブの昼の部に言ってきた。
さくら学院は、福山雅治やPerfumeを擁する芸能事務所アミューズ所属の、学校をコンセプトにした小中学生によるアイドルグループだ。最近、全世界で人気が沸騰しているヘビメタ・アイドルユニットBABYMETALの母体となったグループでもある。

小中学生アイドル? ないでしょ

自分でもよくわからないのだけど、BABYMETAL熱が周辺で高まっているなかで、急にさくら学院が気になりだして、去年の秋頃から、どっぷりハマっている。いわゆる「にわか」である。古参の方には申し訳ない。

2年くらい前、日経エンタテインメントのアイドル特集の最終ページにさくら学院の紹介がちょっと載っていて、「小中学生は、いくらなんでも、さすがにないわー」と思った。自分も含めていい年したおっさんがアイドルにハマる昨今においても、小中学生はいかん。危ない臭いがする。絶対に近寄りたくない。

ところがBABYMETALが話題になり、その母体がさくら学院だと知って、CS放送で流れたTIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)のパフォーマンスを見てみたら、意外にも良かった。さわやかでキラキラした楽曲。練度の高いダンスと元気いっぱいの振り付け。全力だけど凛とした、品のある美少女たち。想像していたロリロリした雰囲気はなかった。

永遠にもう見ることはできない

いつもの悪い癖で、YouTubeでさくら学院の動画を漁りまくった。そこで最初の衝撃。過去のさくら学院の完成度が予想以上に高かったのだ。
それもそのはず。2010年に結成された当時のさくら学院は、現在はソロ歌手として独自の道を歩む武藤彩未を軸に、女優・モデルとして活躍中の三吉彩花と松井愛莉が脇を固め、その一学年下にはBABYMETALのボーカル・中元すず香。中心となるこの4人が歌もダンスもルックスも良くて、周りを固めるほかの少女たちもしっかり個性も才能もある。多数の少女タレントを抱えるアミューズが、1年の社内オーディションとレッスンを重ねて決めたメンバーだったから、いきなり完成度が高かったのだ。

そんな子たちが、ローティーンからミドルティーンの初々しくもキラキラした青春を歌い上げる。そこには、少女たちの物語がしっかりと作りあげられていた。

同時にもの凄い喪失感を味わった。僕が知った時点で武藤彩未も三吉彩花も松井愛莉も中元すず香も、みんな卒業したあとだった。もう2度と、生でこの子たちが歌い踊る姿を見ることはできないのだ。

さくら学院には恐るべきルールがある。「義務教育卒業と同時にさくら学院も卒業しなければならない」のだ。さくら学院のメンバーは小学校高学年から中学3年生で構成されているが、歌と踊りの中心は中3のメンバーだ。でも、その子たちは、たった1年で卒業して、次の中3メンバーがまた中心になる。下級生たちの歌やダンスの役割も変わる。
つまり、さくら学院とは、1年毎にセンターが入れ替わる、奇妙なアイドルグループなのだ。ほかのアイドルにも卒業や脱退はある。しかし、これほど頻繁に、これほど大きく変わり続けるグループはない。

生徒会長の役割

さくら学院のリーダーは生徒会長と呼ばれる。また、生徒会長以外の中3メンバーにもトーク委員長、プロデュース委員長などの役職が与えられ、ある程度の自治が行われている。歴代の生徒会長は、毎年自分たちのさくら学院をイチから作り上げていって、3月の卒業式ライブで締めくくる。その年度のさくら学院はそこで終わり、もう二度と見ることはできない。

過去の動画を見ると、2010〜2011年度の武藤彩未会長のさくら学院、2012年度の中元すず香のさくら学院、2013年度の堀内まり菜のさくら学院、それぞれに個性があって良さがある。
10代の少女の日常と変わらぬ友情を歌った名曲『FRIENDS』において、2011年のオリジナル版ではスタイル抜群コンビである三吉彩花と松井愛莉が歌う「私たち似たもの同士だなんて、一緒くたにされるけど」というフレーズは、2012年度にファニーな堀内まり菜と佐藤日向に受け継がれ、2013年度には菊池最愛と水野由結の黄金アイドルコンビに引き継がれた。誰が歌うかによって、曲の趣は少しづつ変わる。どの年度の『FRIENDS』が好きか? というのはさくら学院の父兄(ファン)のひとりひとり違うだろうが、それぞれに異なった輝きがある。そして、その輝きはその場で見ておかないと、翌年度以降はもう生で見ることはできない。
だから父兄(ファン)は、いま(現在)しか見られないさくら学院に熱くなる。

いま(現在)しかない

さくら学院のメンバーにとっても、いま(現在)は限られた貴重な時間だ。メンバーは長くて5年弱、短い子は3年弱しか在席できない。そして自分たちのさくら学院を作り表現できるのは中学3年生の1年だけだ。
その中3の大事な年に、BABYMETALとして世界を股にかけるスーパーアイドルとなってしまった菊池最愛と水野由結の苦悩は想像以上のものだと思う。そのせいか、2人はことさらにさくら学院への愛を語る。

BABYMETALは、さくら学院を広めるための武器なんです!」(菊池最愛 2015年2月2日 LoGiRL#2)
さくら学院のことしか頭にないから」(水野由結 2015年2月15日 バレンタイン・ライブ 第一部)

この2人の気持ちを配慮してか、1月10日のさいたまスーパーアリーナのライブを最後にBABYMETALは活動を休止し、さくら学院は3月29日の卒業ライブまで怒濤のようなライブ&イベントラッシュに突入した。

最愛と由結のさくら学院をいま見ておかねば、というファンの熱い気持ちからかチケットは飛ぶように売れ、ついに卒業ライブは過去最大規模のNHKホールで行われることとなった。いままで1000人から1500人程度のホールでやってきたさくら学院としては3500人収容のNHKホールでの開催は大きなジャンプアップだ。しかしそれでも席が足りず、ついに全国24の映画館でライブビューイングが行われることとなった。

究極のライブコンテンツ

CDが売れない時代である。わずか数万枚の売上でもオリコン週間チャートの1位をとれてしまう。
いっぽうでライブコンサートは大盛況である。外タレのライブチケットは定価で2万円、3万円と高騰し、アイドルのライブも年中開催され、どこも盛況なようだ。
アイドルのファンは、自分の好きなアイドルのコンサートに何度も何度も繰り返し足を運ぶ。多くのアイドルは成長途中の少女たちであり、同じ曲でもライブのたびに成長があって少しづつ変わっていく。運営側もアイドル自身もヘビーリピーターに飽きられないようにライブ毎に趣向を凝らしたりもする。需要と供給がうまくなりたって、ライブコンサートは益々盛況となり、もはやいつでも同じ品質で聴けるCD音源に価値はあまりなくなってしまった。

そんな時代において、10歳から15歳という心も体も急速に成長する期間にある少女たちが、全力で歌や踊りやトークに取り組む姿を見せるさくら学院は究極のライブコンテンツなのかもしれない。

少しでもさくら学院に興味をもったならば、YouTubeで動画を見てほしい。そして、3月29日のライブビューイングに行ってみてはいかがだろうか。

さくら学院 ライブビューイング
http://eplus.jp/sakuragakuin-lv/

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投稿者:

ともゆき@zubapita

ともゆき@zubapita

作ったモノ 雑誌:月刊アスキー(デスク)、アスキー.PC(副編集長)、インターネットアスキー(編集長)、アスキーPCエクスプローラー(編集長) Webサイト:東京グルメ/ライブドアグルメ、映画を語ろう、本が好き 著書:「Twitter 使いこなし術」「facebook 使いこなし術」 最近は、株式会社ブックウォーカーにて、「BWインディーズ」をやってます。

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