ももクロのライブに実際に行ってわかったこと(その1)

先週の8月4日と8月7日、立て続けにももクロことももいろクローバーZのコンサートに行ってきた。 そこで実際に行ってみてわかったことのメモ。
 
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8月4日(日曜日)は、新横浜にある日産スタジアムで行われたももクロの単独ライブ。収容人数7万2327人(スタンド席)という日本最大級の巨大スタジアムを使って、ももクロらしい元気なエンターテイメント・ショーが繰り広げられた。

 

ももクロがなぜこんなに急速に人気を獲得しているかについてはいろいろ説があるけど、ひとつ確実に言えるのは「予想は裏切り、期待は裏切らない」という運営の絶妙な演出にある。まずそれが今回のライブで実感できた。


僕にとっては、初めてのももクロのライブだったのだけど、実際に行くまで、日産みたいな巨大なスタジアムでライブなんて、きっとももクロの5人が豆粒みたいにしか見えないんじゃないか? と不安に思っていた。
 
そこで気になるのはステージはどんな風に組むのか? ということ。 巨大なスタジアムの端にステージを作ったりしたら、反対側のスタンド席からはそれこそ豆粒以下の大きさにしか見えないはず。だったら、いままで西武ドームなどで実績のあるグラウンド中央のステージを使うのかな? なんて想像していた。
 しかし、気になったのは事前に収容人数が「6万人」とアナウンスされていたこと。スタンドの一部をつぶしても、グラウンドをアリーナとして使えば、7万人は楽に入りそうなんだが……。まさか、グラウンド全部がステージってことはないよね?
 
そして僕の予感はある意味当たっていた。僕らの席は東側バックスタンドの1Fの比較的真ん中よりだったけど、今回のメインステージはその正面、西側メインスタンド上に作られていた。つまり正面に見えるけど、その距離はおよそ200m。やはり演者は小さくわずかにしか見えない。
代わりにバックスタンドの目の前にサブステージが設けられているのが救いで、そこで歌ってくれれば僕らの席から距離は数10m。なんとか顔の表情もわかる。

じゃあスタジアムの真ん中はどうなっていたのか? AKB48やサザンオールスターズがライブを行ったときにはシートを敷き大量の椅子をおいてアリーナ席となっていた場所は、ももクロのライブでは、緑の天然芝と周囲の陸上競技用トラックがほぼそのまま残されていた! あの青々とした芝生を見たときのショックといったらなかった。いったいなぜ、こんなステージ構成にしたのか?

その謎は、4時間半以上にわたってコンサートが進行していく中で明らかになった。テレビや新聞でご存じの方も多いと思うが、残したトラックや芝生のグランドを使って、コンサート中に陸上競技やサッカーをやってしまったのだ。それもかつて日本を代表するスーパーアスリートだった武井壮や北澤豪、福田正博を相手にももクロのメンバーが挑むという茶番が繰り広げられた。その結果は当然ももクロたちの惨敗。この巨大コンサートの主役なのに、まったく花も持たせてもらえずに。

でも、だからこそ面白かったのだと思う。俊足自慢のももクロのリーダー百田夏菜子は、武井壮に20mのハンデを付けた100m走対決で負けてしまったけど、あと10mハンデがあったら勝てていたかもしれない。でもそれをあえて、百田が勝てない距離で勝負して10種競技元日本王者の凄さを見せつけたからこそ印象に残ったのだと思う。

サッカーはもっとひどい茶番だったけど、運動神経と体力が自慢の百田夏菜子や玉井詩織が元日本代表たちにさんざん翻弄される姿こそが、スポーツの頂点の凄さをわかりやすく伝えてくれたとも言える。

ももクロのライブやTV番組の多くを手がけている演出家の佐々木敦規は、「アイドルが人を笑わせようなんて、おこがましいし芸人に失礼。だけど、人に笑われるにも努力が必要」みたいなことをどこかで言っていた。

笑いについては、もうひとつ。アニメ監督の宮崎駿は、「登場人物が馬鹿なことをして笑いをとるなんてのは低級な笑い。真面目な人がなりふり構わず一生懸命にふるまった結果が笑いを誘うのが、本当の笑い」みたいなことを言っていた。

ももクロが提供する笑いは、まさに宮崎駿が言うところの笑いだ。ろくにサッカーのルールも知らないのに超一級の元プロのボールに齧り付きに行って、あげく相手を倒してイエローカードを立て続けにくらい、怖がりながらも壁を作ってPKを必死に阻止しようとするけど、結局はゴールされてしまう。果たしてどこまで台本に書かれていたのかはわからないが、この茶番を僕らが明るく楽しめるのは、なりふり構わぬ一生懸命さをももクロが全身全霊をもって表現してくれたからだ。

 
なぜ、ももクロに惹かれるのか僕はずっと考えているのだけど、いまだに答えが決まらない。でも、きっとその理由のひとつに、ももクロが「嘘っぽくない」ところがあると思う。
 
ももクロが主役のコンサートで、元日本代表のアスリートたちがももクロのメンバーに花を持たせてあげる演出だって可能だ。というか、普通のアイドルのイベントだったら、そうしただろう。でも、そういうお約束をすっ飛ばして、生に近い、素に近いももクロのメンバー達の必死の表情を見せる。
 
また、絶対かなわない状況なのに、ももクロのメンバー達は、絶対あきらめずに全力で、しかも楽しそうに戦いを挑む。
 
ももクロといえば「全力」がキーワードだけど、その全力がフィクションを感じさせない。そこに人生の酸いも甘いも噛み分けてきたはずの大人が次々とハマる魅力がある。
 
ふと思い出したのだけど、「もも見!」という社会科見学番組でクリーニング工場を見学したとき、ももクロのメンバーが膨大なシャツの仕分けの速度を専用の機械と競ったことがあった。そもそも絶対にかなうわけないのに、ももクロのメンバーは機械に負けたあとも、「もう少しやったら勝てるかもしれないから時間を延長してくれ」と言い出して、勝負を続けた。結局、勝てなかったのだけど、その精神的なタフネスに「凄い子たちだな」とそのときも思った。
 
ももクロの魅力は、変化に富んだ楽曲の楽しさやダンスの面白カッコ良さ、ライブの躍動感など多岐にわたるけど、最終的にはあのコたちの人間性が僕たちを惹きつけて止まないんだろう。
 
ももクロを育てたマネージャーの川上アキラ氏が「カワイイ子を集めるのは簡単だけど、優しくて心が強い子を集めるのは難しい」と言ってたらしい(ソースは2ちゃんねるのまとめブログなのだが)。「優しくて心が強い子」を集めることができたのが、ももクロなのだろう、きっと。
 
アイドルとはやはりカリスマであり、カリスマをなすのは心の強さなのだ。
 
(次回に続く)
 
参考 ももクロ6万人日産スタジアムライブに布袋、猫、武井壮
 
ももクロ大暴れで6万人熱狂!豪華ゲストも続々
 
 
Jリーグ草創期のヒーロー北澤豪に果敢に向かっていく、“ももたまい”こと百田夏菜子(赤)&玉井詩織(黄)のももクロ・ツートップ(運動神経的な意味で)。【サンスポより】
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ともゆき@zubapita

ともゆき@zubapita

作ったモノ 雑誌:月刊アスキー(デスク)、アスキー.PC(副編集長)、インターネットアスキー(編集長)、アスキーPCエクスプローラー(編集長) Webサイト:東京グルメ/ライブドアグルメ、映画を語ろう、本が好き 著書:「Twitter 使いこなし術」「facebook 使いこなし術」 最近は、株式会社ブックウォーカーにて、「BWインディーズ」をやってます。

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