日本のソーシャルの概念は遅れている? 間違っている?

 先日、TechWave.jpの記事を中心に「ソーシャル」とはなんぞや?という騒動があった。

 大学生が古典的な「SNS」の定義を持ち出して、最近の日本では間違った「ソーシャル」の定義が蔓延していると、ちょっと上から目線で批判。

 それに対して、佐々木俊尚さんが、「この記事は100%間違っている」とツイートで批判したあたりから、いろんな意見が交わされている。

 Togetter – 「蔓延する誤った「ソーシャルメディア」の定義 大学生が書いたTechWaveの記事への反応まとめ」 

http://togetter.com/li/71864

 で、それに対して、Market Hackにこんなエントリが載っていた。

先日「MarketHack」の姉妹ブログ・メディア、「Techwave」に水谷さんというブロガーが「蔓延する誤ったソーシャルメディアの定義」という勇気ある寄稿をしたら、それが一部の「識者」からボコボコにされました。

僕は水谷さんはぜんぜん間違ったことは言っていないと思います。

(中略)

アメリカのソーシャルは実名で自分の親とかバアちゃまとか学校のセンセーとか職場の上司とか元カノジョとか自分がクビにした元部下とか、そういう人間関係がとぐろを巻いてウネウネした状態で爆走している、、、そういうものなのです。

そこへゆくと日本のソーシャル・メディアは未だ使いたい人たちだけがOpt-in(自ら進んで参加)する状態であり、そんな状態しか未だ経験してないくせに、このグチャグチャ状態も知らずして、ソーシャルを語ることなかれ。

[From 僕の息子が入院した日 ソーシャル・メディアと実際の友人・知人の気まずいカンケー – Market Hack(外国株ひろば Version 2.0) – ライブドアブログ]

 この批判は、的外れだと思う。 問題はSNSという場をどう捉えているかということ。

 アメリカが進んでいて日本が遅れている、という話ではない。

【リアルかバーチャルかではなく、パブリックかプライベートか】

 仮に今、僕の両親とか、僕の義理の両親が、Twitterでフォローしてきたり、Facebookで友達申請してきても、そんなに困らない。

 僕はFacebookだけでなく、BlogもMixiもTwitterも、全部実名。そして、いろんな会社での元上司とか元部下とか、現在の上司とか同僚とか親会社の偉い人とか、いろんな人がmixiやTwitterでFacebookで繋がっている。

 いい年してアニメ話とか、女子高生ネタとかの話もしていて、マイミクやフォロワーやフレンドには「しょうがない奴だ」くらいには思われているかもしれないが、人に見られて本当に困るようなことは、書いたことがない。

 パソ通から数えれば、23年くらいネットを利用していて、何度も論争をしたし、みっともないこともあったかもしれないが、本質的に知り合いにばれて困るようなことは1度もやっていない。

 僕が常にネットを、リアル社会と同じパブリックな空間として付き合ってきたからだ。

 佐々木俊尚さんを代表とする、「今更、リアルとバーチャルを分けて考えることに意味はない」と考える人たちは、たぶんみな、ネットをパブリック空間としてつき合っているのだと思う。まあ、ジャーナリストとかIT業界人も多いし。

 一方、

息子:「学校の友人はまあいいとして、いとこのメイガンやアレクシス(グレンダおばさんの娘たちです)からFacebookの友達のリクエストが来たら、、、断れないだろう?」

僕:「そりゃまあ、そうだな」

息子:「ガールフレンドとかとのやりとりをいとこに見られるの、やばくない?」

[From 僕の息子が入院した日 ソーシャル・メディアと実際の友人・知人の気まずいカンケー – Market Hack(外国株ひろば Version 2.0) – ライブドアブログ]

 

 というような人たちは、ネットの中でもSNSはプライベートな空間だと思って使っている。だから、親戚に見られたら困るガールフレンドとのやりとりを、facebookで行う。

 僕だったら、息子に「そりゃまあ、そうだな」なんて言わない。

「ネットは公的な場所なんだから、見られて困ることはメッセージとかクローズなとこでやっとけよ」と指導する。

 これは、アメリカと日本の違いという話でもない。僕のマイミクさんでも、田舎の親戚の酷い言動をmixiの日記でグチっている人とか、会社の上司の無能さを呪っている人もいる。こういう人たちは、disっている人のITリテラシーの低さを障壁にmixiをプライベート空間として利用していて、その気持ちはわかるけど、危険だなぁとも思う。

 ちょっと厳しい書き方をすると(このブログはマイミクさんに見られる可能性もあるので)、情報管理に対するリテラシーの低い人が、SNSをプライベート空間と思い込んで、外に漏れたら困ることを書いてしまう。もちろん、自分の周囲の状況を完全に見切ってかつ自己責任としてやっている人もいるだろうけど。みんな大人だし。

 僕とか、最初から「SNSのSはソーシャル、つまり”社会”なんだから、リアル社会と同様に気をつけて発言する場所」と思ってましたよ。(という割には、しょーもない発言があるのは、僕がしょーもない人間であることを包み隠さないから)キリッ

 だって、プライベートな場所なら「PNS = Private Network System」て名付けるはずでしょ?

 ちなみに、

 Facebookは排他的だ  – Market Hack(外国株ひろば Version 2.0) – ライブドアブログ

 というエントリもあるけど、マーク・ザッカーバーグは、「exclusive」とは言っていても、「private」とは言っていない。

 英語が得意でないので断言できないけど、ザッカーバーグがいう「exclusive」というのは同じ意識の仲間が集まって情報を共有することの面白さを言ってたんじゃないかなあ。

 んでもって、そういう意味で考えると、僕の両親とか親戚のオジオバとかは、僕の趣味も仕事もまったく理解できないし、みんなゴシップより自分の趣味の話が好きな人たちだから、たとえfacebookを始めたとしても、きっと僕なんかに友達申請しないで、趣味の仲間とつながっていくほうを選ぶんじゃないかな。

 exclusiveってそういうことなんじゃないの?

関連記事

投稿者:

ともゆき@zubapita

ともゆき@zubapita

作ったモノ 雑誌:月刊アスキー(デスク)、アスキー.PC(副編集長)、インターネットアスキー(編集長)、アスキーPCエクスプローラー(編集長) Webサイト:東京グルメ/ライブドアグルメ、映画を語ろう、本が好き 著書:「Twitter 使いこなし術」「facebook 使いこなし術」 最近は、株式会社ブックウォーカーにて、「BWインディーズ」をやってます。

“日本のソーシャルの概念は遅れている? 間違っている?” への1件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>