ゲームは嫌いじゃないが、最近めっきりしなくなった。最近の複雑なゲームシステムにはついていけない。長大なゲームシナリオを攻略する時間もない。いい年していまだにアニメを見るが、アニメ顔のファンタジー系RPGには、どうも感情移入できない。
iPhoneゲームも一時期ハマったけど、結局Twitterのほうが面白いので、今はゲームは滅多にやらなくなった。
そんな僕の貧しいゲームライフが少し変わった。いや、だいぶ変わった。やるべきことがあるのに、ついついゲームに手を出してしまう。そんな久しぶりの体験。それはiPadのせいだ。iPadの大きなマルチタッチ画面が、ゲームのエクスペリエンスを進化させたからだ。
僕がいまハマっているゲームの代表が、今回紹介する「Pinball HD」(350円)。
もともとは、iPhone用にバラバラに販売されている、「Wild West」「The Deep」「Jungle System」という3本のゲームをiPad用に改訂して、ワンパッケージにしたものだ。
3本のゲームの切り替えは、上下のフリックで行い、表示されているゲームの画面をタッチすると、ゲームが開始される。
ボールがプランジャー(打ち出し機)に投入されたら、ぐっと指でひっぱって押し下げ、離すとバネの力でボールがレーンに打ち出される。ボールは弧を描いてフィールドに入り、ポストにぶつかり、派手な音と光をともなってバンパーに跳ね返され、やがて重力に逆らえずに落ちてきたところを、すかさずフリッパーで打ち返す…。
ビデオゲームにおけるピンボールの歴史は古く、80年代前半のApple IIのゲームの人気ランキングの上位には、常に1つか2つのピンボールゲームが入っていた。1983年には自分の好きなようにピンボールをレイアウトできる「ピンボール・コンストラクション・セット」が登場している。Windows 95の拡張キットにもピンボールゲームが含まれ、これはWindows NT4.0からXPまで、WindowsのインストールCDに標準で収録されていた。
これらのビデオゲーム版ピンボールは、ソリテアやマインスイーパーと同じように、「シンプルだからハマるゲーム」だった。この「Pinball HD」もまた、シンプルなゲームだ。だけどこいつには、それ以上のものがある。まるで本物のピンボールマシンを相手にしているような、錯覚的な体験。それが魅力なのだ。
Pinball HDには、2つのモードがある。横モードでは、ピンボール台はパースがついて固定された状態で表示される。これはこれで良いのだが、従来のビデオ・ピンボールと大きく変わらない。いっぽう、縦モードでは、カメラはボールの周辺のクローズアップして表示する。ボールが動けばカメラも動き、状況によってズームアップしたりズームダウンする。まるで本物のピンボールマシンで自分の視線がボールを追いながら、周囲にも気配りするがごとく。
このリアリティが半端ない。慣れないウチはちょっととまどうが、やがてゲームの世界に没入し、音と動きからボールの軌道と落下地点を予測できるようになる。
iPadのマルチタッチを活かしたフリッパーの操作感も素晴らしい。力のいれ加減で、ボールのスピードを殺してフリッパーの肩でボールをホールドしたり、左右のフリッパーの間でボールをパスしたり、きわどい軌道で落ちてくるボールに先端をひっかけて、打ち返したり。
はっきりいって、どれだけ練習すれば本物のピンボールでこんなテクニックが使えるようになるだろう? というような技が比較的簡単に習得できる。俺はもしかして、現実のピンボールもうまくなっているんじゃないか? と錯覚する。
ただひたすらピンボールを打ち続けるだけで、その華麗なテクニックで見知らぬ女の子を魅了してしまった『1973年のピンボール』の主人公の「僕」のごとく、ひたすらストイックにピンボールをプレイし続ける。ちょっとナルシステイックな快感が、このゲームには秘められている。
う———む。
タイトルから反応してしまいました(笑
ピンボールって、やってみると意外に奥が深いのですよね
個人的にはアナログなほうが魅力なのだけれど、iphone買おうかなぁーって思ってしまった私って…
来るかな? と思ってました。1973年のピンボール好きだと言ってたからw >たけさん
ぜひ、iPad買って、小説の主人公の気分を味わってください。
3フリッパーの台がないのが残念ですが。