水樹奈々:ネット時代のライブ力

6月 10th, 2009

 水樹奈々がついにオリコンチャートを制した。

人気声優、水樹奈々(29)の通算7枚目のアルバム「ULTIMATE DIAMOND」が、15日付オリコンアルバムランキングで声優初の1位に輝いたことが8日、分かった。声優の首位獲得はオリコンの41年の歴史で初めてで、デビュー9年目の水樹は「夢のような出来事で言葉になりません」と感激。

[From 水樹奈々、声優初のオリコン1位に - 芸能 - SANSPO.COM]


ULTIMATE DIAMOND(初回限定盤)(DVD付)(水樹奈々)

 つくづく時代が変わったと思わせるのが売り上げ枚数。なんと今回の「ULTIMAE DIAMOND」の初動は推定7万4000枚。1週間で10万枚に満たなくても1位になれるのだ。主流のJ-POPの売り上げが落ちたから相対的にマイナーなアキバ系が上がったという話もあるが、12年前は声優の林原めぐみのアルバムが初動16万3000枚だったというから、声優のCDも売れなくなっているという点では同じだ。

 CDが売れなくなったのは、ネットで違法コピーされているからではない。最大の理由はコンテンツ商品の種類や数が膨大になり、それに合わせて嗜好が極端に多極化したためではないか。みんなCDだけでなく、コミックも小説もDVDもゲームも楽しみたいから、同じ金額を出すなら、なるべくレンタルを利用してより多くの商品に触れようとする。いっこうに増えなかった可処分所得がこの不景気で減りだして、いよいよこの傾向は加速している。

 そういう時代だから、買って貰うためには「所有したい」と思わせる動機付けを強くする必要がある。いままでは、ゴールデンタイムの音楽番組に出演したり月9ドラマや映画やCMとタイアップしたりFM局でヘビロテして、多くの人に繰り返し作品に触れて貰うことでマス層の興味を引いて、購買に結びつけてきた。

 でも、多極化の時代では、マス層は興味を引かれてもレンタルや違法コピーで済ませてしまう人が増えてくる。マス層というのは、こだわり持たずに、次々と流行のコンテンツや情報を消費する人たちだから。

 いっぽう、アキバ系はヲタク系であり、自分の趣味嗜好にこだわる人たちだ。一度ファンになれば律儀に購入する。水樹奈々は今年1月の武道館3dayは即日完売で、7月には西武ドームでライブを開く。3万人とか5万人を動員するということは、アルバム購買者の半分以上がライブに訪れていることになる。つまり水樹奈々とファンの間は、それだけ熱い空気でつながっている。その絆をデビューから9年間のライブ活動でコツコツと積み上げてきた結果が、今回のランキング1位につながったのだと思う。

 

【ネット時代のライブ力】

 水樹奈々のライブは評判が高い。というか、ライブを見ないと正当な評価はできないと思われる。

 僕は昨年の新宿コマで見たのを除けばDVDでしか水樹奈々のライブを知らないのだが、初めてライブDVDを見たとき、まずはそのカリスマ性に驚いた。エンターテインメントとしての完成度も高い。正直、過去に見た何人かの有名洋楽アーチストよりは、水樹奈々のほうが迫力があるし、うまくショーアップされている。

 1月の武道館ライブを訪れた「パール兄弟」のサエキけんぞうも日経トレンディのコラムで次のように紹介している。

速くて複雑な符割とリズムをこなしきり、声量も豊か、とにかくすさまじく歌がうまい。滑舌は声優なので抜群。それに加え、達者なダンスと全方位に話しかける流暢なMC。ルックスも綺麗である。
その実力は、現在までの歴代のどのアイドルよりも上かもしれない。つまり、ひょっとすると史上最強のアイドルなのかもしれないと思うほどだ。

[From 水樹奈々が武道館! アニメ系歌手大ブレイク - エンタ - 日経トレンディネット]

 さらに実力派のベテランプレイヤーを集めたバックバンド「チェリーボーイズ」の魅力もライブの大きな柱だ。再びサエキけんぞうの言葉を借りれば以下のようになる。

そもそも筆者がかの公演に行こうと思ったのは、パール兄弟のドラマー、松永俊弥がバックバンドでドラマーを務めるというからだった。松永はポルノグラフィティ、槇原敬之らのライブをはじめ、ピチカート・ファイヴのレコーディングなど歴戦の勇士である。その彼がアニメ系ライブに出演するとは…と当初は正直驚いた。しかし、当日のバックメンバーを見て2度びっくり。

 フェンス・オブ・ディフェンスの北島健二、レコーディングセッション系の重鎮、渡辺格、進境著しい若手人気ベーシスト、坂本竜太など見事な布陣。なおドラムは松永と渡辺豊とのダブルドラムス。オールマン・ブラザース・バンドばりのハードな重戦車サウンドが繰り広げられているではないか。

 水樹奈々のライブでは、これら音楽業界の重鎮のオジサマたちにマーチン、ケニー、イタルビッチ、リュータン、ユタポン…と、ちょっと恥ずかしげなニックネームをつけて、衣装チェンジの合間にDJやダンスをやらせたり、パートチェンジして演奏させたりと、いろいろなに挑戦させて、若いファンに馴染ませた。それによってライブはさらにショーアップし、水樹奈々とファンの間の密度はますます濃くなり、ひとつのライブが終わるたびに、次のライブを待ちわびるファンの声が2chに書き込まれる。

 ニコニコ動画には、日々水樹奈々関連の動画がUPされる。YouTubeでは、アルバム曲を含めてほとんどすべてを視聴できる。僕自身、水樹奈々を初めて知ったのはニコニコ動画だし、「子供の頃から演歌歌手を目指していて、のどじまん荒しだった」とか「堂本剛やともさかりえと同級生だが仕事がなくてノート取りにいそしんだ」なんて情報も、Wikipediaやニコニコ動画などネットで知った。そういうストーリー性も、アキバ系の好むところだ。

 こだわりの強いアキバ系ファンに、ネットを通じてリーチして、リアルのライブで熱烈なファンを増やしてきた。

 史上最強かどうかはわからないが、水樹奈々は、まさに時代を代表するアイドルだとはいえる。

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カテゴリー: 日記, 音楽

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コメントフィード1件のコメント

  1. pligg.com

    Tokyo O life – ずばぴたテック » 水樹奈々:ネット時代のライブ力

    つくづく時代が変わったと思わせるのが売り上げ枚数。なんと今回の「ULTIMAE DIAMOND」の初動は推定7万4000枚。1週間で10万枚に満たなくても1位になれるのだ。主流のJ-POPの売り上げが落ちた…

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