富士宮:「やきそば」もいいけど「しぐれ焼き(卵入り)」を食え!

 我が家の昼食の定番は、「富士宮やきそば」。奥さんが生協で買っているシマダヤの蒸し麺とソースがセットになった「富士宮やきそば」なんだけど、これが意外にあなどれない。普通のソース焼きそばの倍くらいの値段で、3分の2くらいしか麺が入っていないので割高なのだが、食べると完全に納得。麺がシコシコ、鰹節の香りがふんわりしてて、昼の軽食としての満足度はかな〜り高い。

 で、「本物を地元で食べたら、どれだけ旨いんだろう?」と家族全員で長らく妄想を膨らませていたのだが、ついに! 行ってきましたよ、富士宮市。「富士サファリパーク」の帰りに寄って、本場オリジナルの味を確かめてきました。

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 最初は、メディアでも有名な「富士宮やきそば学会」のアンテナショップがある「お宮横町」を目指した。行ってみると、かの浅間大社の目の前にあって、雨なのにめちゃ混んでいる。だけど、入ってみると露天(いちおう屋根付き)にベンチとテーブルが並んでて、周囲のお店で買ってきて食べるという、ショッピングセンターのフードコートみたいな作り。しかも、周りには場所取りを待っている人が並んでいる。うーむ、いくら焼きそばがカジュアルな食い物だからといってこれはちょっと辛いと即、脱出。

 浅間大社と富士宮やきそば学会アンテナショップが面している大通りは整備されていて、通り沿いには富士宮やきそばのオレンジの幟を立てているキレイな店がいくつもある。なかには、駐車場付きの店や、新名物候補の「ニジマス」や「つけナポリタン」の幟をあげている店もある。富士宮市中心街は、駐車場やコインパーキングが極端に少ない。一番大きいのは、浅間大社裏の市営駐車場らしいのだが、なんとこの日は浅間大社の行事のため、封鎖されていて利用できない。そういうわけで駐車場付きのお店は便利なのだが、そんな基準で店を選ぶわけにはいかない。

 livedoor グルメの達人さんたち(の一部)から習い覚えた、「旨いモノが食いたければ、大通り沿いのキレイな店は避ける」という教訓を思い出し、地元の人が通いそうなお店を探索したいと思う。とはいえ、子供たちもお腹をすかせている。しかも直也はトイレに行きたがっている。残された時間は少ない!

 そこで、大通り沿いにあった、地元商店街が運営しているらしき案内所に飛び込んでみる。なによりトイレも借りられると書いてある!w

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 そこで、ここに来て感じていた疑問を口にしてみた。「お好み焼きも有名なんですか?」と。というのも、駐車場を探していると、やきそばとお好み焼きを看板にあげている古い店がいくつかあったし、なにより案内所でも「やきそば&お好み焼きマップ」を配布している。

 「もともとは、お好み焼きなんですよ!」「へー!」

 「それでしたら、かわにしさんがいいんじゃないかな?」「はあ」

 「こっからそこの信号を渡って(以下道案内)」(勝手に店に予約電話までされちゃう)

 というわけで、その「かわにし」に行ってみることにした。

 案内通りの行くと、大通りからちょっと小さな路地に入る。「大宮小路」と入り口に表札。

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 いい感じに、ひなびかけた路地。道沿いには地味な地元っぽいお店がちょこちょこある。

 徒歩5分ほどで、目的の「かわにし」に到着

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 なかは、狭い。店の中央右寄りに正方形の鉄板があって、そこでおかみさんがやきそばを作っていて、41歳だという子供を笑わせるのが上手な息子さんが手伝っている。

 左側にも一応4人掛けくらいのテーブルが2つ並んでいるが、そのテーブル席には、酔っぱらったジイさんが一人。

 「そんな、テーブルに座って食うヤツなんていない。鉄板の前に座って」と仕切られる。以下、標準語で再現するけど、実際は方言が強くて聞き取れないこともしばしば(でも、このお爺さん以外は、誰も方言使ってなかったけど)。

 「あんたたち、良かったね。ここは本物だ」「はぁ」

 「本当に旨いのはやきそばじゃない。やきそばなんて誰でも焼ける」「はぁ」

 「お好み焼きは誰にでも焼けるもんじゃない」「そうですか」

 「でも本当に旨いのはしぐれだよ」「しぐれ?」

 「しぐれってのは広島みたいにお好み焼きに焼きそばをいれるんだ」「なるほど」

  たしかに年季の入った壁のメニューに「しぐれ焼き」とある。

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※注 撮影はお店のかたに許可をいただきました。

 「だけど、広島のお好み焼きより、ぜんぜん旨い。おれはそう思う」「はい」

 「しぐれを食べるなら卵入りだよ」

 というわけで、「焼きそば(肉入り&大盛り)」と「しぐれ焼き(卵入り&大盛り)」を注文。

 このあともジイさんの勢いは止まらず、昔話をしたり、富士宮やきそばを褒め称え続けたり。お店の息子さんも、「いやー、このジイさんに会えるなんてラッキーですねー。なかなか会えませんよ」とお世辞なのか、冗談なのか。

 ところがそのうち、息子さんに「跡を継いで店を大きくしろ」としつこくけしかけたり、「この鉄板で焼きメシ作ると旨いんだよ。戦後は痛んだ米を持ち込んで、よく洗って作ってもらったんだよ。傷んでいたって、臭くないし旨いんだよ」とか、食べ物を出す店で話すにはヤバイ話をしたり、あとからきたお客さんが遠慮して道で待っていると、「あんなの面倒だから断っちまえよ!」と言い出したり、さすがにオカミさんも閉口。息子さんは、いつの間にか逃げ出していた。

 実はジイさんはテイクアウト待ちだったのだが、注文していたお好み焼き2人前+しぐれ焼き2人前ができても、「いやー、帰りたくなくなっちゃったよ」と、なかなか帰ろうとしない。

 と、そこへ、地元の人らしい別のおじさんが登場。

 「混んでいる?」「ああ、大丈夫です、いつものですね。すぐ作ります」とオカミさんも、こちらには愛想がよい。

 僕らの焼きそばができて、食べ始めると、ジイさんはようやくお金を払って帰っていった。

 「あの人って(このお店の)名物なんですか?」と聞いてみると、オカミさんがボソっと「いや、昔はよく来たみたいだけど、私はそんなによく知らないです・・・」

 ガクッ。

 あとからきた、おじさんこそ本物の常連で、あのジイさんは、常連なわけではなかったのだ。

 で、ようやくできあがった本場の富士宮やきそばの感想はというと、「シマダヤの”富士宮やきそば”にかなり近い!」(違うって)。

 正確に言うと、本場の方が柔らかく、水分も多めでゆるい感じ。僕はもっとアルデンテなほうが好きだな、と思って食べていると鉄板の熱でどんどん水分が抜けてシマってくる。なるほど、だから、最初はユルめなのね。それにしても、麺のシコシコ具合とか、あまり甘くないソースとか鰹節の香りとかは、シマダヤのほうもかなり正確に再現していることがわかってしまった。

 「やきそばは誰でも焼ける。(富士宮では)そこらの喫茶店でも出している」というジイさんの言葉は、それなりに真実をついている気がする。

 だからと言って、食べに来る価値がないわけではない。生協のは麺が太くて、それでコシを出している感じだが、かわにしのは、やや細くてやわらかい。それでいてコシを保っている。また、暖かいまま、じょじょに食感が変わるところも面白い。「鉄板の上から直接食わなきゃ」というジイさんの言うことも、またまた正しい。


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 そして、いよいよ本命の「しぐれ焼き」。作り方はたしかに広島風お好み焼きに似ている。ただ、生地はクレープのように薄く、ソースは甘みが少ないので、全体的にライトな感じに仕上がっている。またまたジイさんによれば、美しいクレープ状の皮こそ、本当に技量の問われるところなのだと言う。

 大阪や広島の本場のお好み焼きを食べたことがないので、東京でやっている「広島風」に限定した話だが、どっちが好きかと言われれば、僕は富士宮の「しぐれ焼き」のほうが好きだ。

 このしぐれ焼き、しかもメニューにない卵入りを食べることができたのは、あのジイさんのおかげなので、本物の常連でなかったとしても、今回の出会いは本当にラッキーだった。


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※注 写真は大盛りなので、麺がひと玉入っていますが、並は半玉だそうです。

 やきそばも、しぐれ焼きも、見た目はボリュームがあるが、しょせんは麺とキャベツなので、けっこう食べられてしまう。正直可能ならば追加したかったのだが、あとからあとからお客さんが来るし、鉄板もひとつ、おかみさんもひとりで独占するわけにもいかないので、退散することにした。

 次回は、やきそば(いか入り)か、普通のお好み焼きを頼んでみたい、と思いつつ、僕らは富士宮をあとにした。

 またこようっと。

「かわにし」と周辺駐車場の地図


より大きな地図で 富士宮やきそば かわにし を表示

かわにし

  • 住所:静岡県富士宮市大宮町25-8
  • 電話:0544-27-5192
  • 営業時間:11:30-14:30
  • 休日:不定期
  • 受け入れ人数:8人
  • 駐車場:なし

周辺駐車場情報

富士宮中央パーキング

  • 住所:静岡県富士宮市中央町4-4
  • 電話:0544-23-1162
  • 収容台数:133台
  • 営業時間:24時間
  • 定休日:年中無休
  • 料金:100円/30分

追記

「かわにし」って有名なのかな? と思ったら、ぎずもさんが、先々月にリポートしていました。さすが(笑)

かわにしのやきそばについて、こちらに詳しく書かれています。

ワンコイン的食べ歩き生活。:かわにし 富士宮 12年価格据え置きの富士宮やきそば – livedoor Blog(ブログ)

http://blog.livedoor.jp/kaz823ad/archives/51577244.html

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投稿者:

ともゆき@zubapita

ともゆき@zubapita

作ったモノ 雑誌:月刊アスキー(デスク)、アスキー.PC(副編集長)、インターネットアスキー(編集長)、アスキーPCエクスプローラー(編集長) Webサイト:東京グルメ/ライブドアグルメ、映画を語ろう、本が好き 著書:「Twitter 使いこなし術」「facebook 使いこなし術」 最近は、株式会社ブックウォーカーにて、「BWインディーズ」をやってます。

“富士宮:「やきそば」もいいけど「しぐれ焼き(卵入り)」を食え!” への9件のフィードバック

  1. ピンバック: 遊飲美食ブログ
  2. なんと! うちもこの連休は富士宮行きました。
    はじめて富士宮焼きそば食べました。

    私らが行ったのは虹屋ミミ ってとこなんですが(ここはなんかのコンテストで
    グランプリ取った「鉄人」がやってるらしい)。

    しぐれ焼きもおいしそうだったんですが、店は行列ができていて、しぐれ焼きは
    作るのに焼きそばより時間がかかりそうだったので、後ろのお客さんのことも
    考えて&やはりまず焼きそばじゃろうということで、「駿河味めぐり」という、
    黒はんぺんと桜エビがのったのを食べました。今思うとこれは邪道かも。
    でもとてもおいしかったけど。

    私らは新富士駅でレンタカー借りたのですが、帰りの東名のジャンクションは
    東京方面に行く車が大渋滞していて、「うわ、東京から車にしなくてよかった」
    と思いました。ともゆきさんはご無事でしたか?

  3. みしぇるさん

    やはり時代は富士宮ですかねぇw

    虹屋ミミって、食べログにも載っているメジャー店なんですね。

    >黒はんぺんと桜エビがのったのを食べました。今思うとこれは邪道かも。

    いや、桜エビはありじゃないですかね? 聞くだけで旨そうです。黒はんぺんも。

    >東京方面に行く車が大渋滞していて、「うわ、東京から車にしなくてよかった」

    はい。東名は凄いことになっていました。大井松田すぎると、車線が広くなるので流れるようになるんですが、そこでなんと事故渋滞! 結局東京まで5時間弱かかりました。

  4. はじめまして。「しぐれ焼き」で検索して、たどり着き、読ませていただきました。
    詳しいレポートをありがとうございます。
    県内ですので、休みの日にでも行ってみたいと思いました。

    私は富士宮に隣接した市に勤めているのですが、今日、生まれて初めて上司に「しぐれ焼き」を食べさせて頂き、今とても「しぐれ焼き」が気になっています。
    私が食べたしぐれ焼きは、焼きそばには味付けがなく、クレープ状の生地に特製ソース・いわし粉・青ノリ・味の素でのみ味付けされていたのですが、ともゆき様が召し上がったしぐれ焼きは焼きそば自体にも味付けはありましたか?

    また、富士宮周辺ではもちろん、「富士宮焼きそば」は有名ですし、生地の中にその焼きそばを入れたお好み焼きもよく食べられているのですが、
    他県でも「富士宮焼きそば」や「しぐれ焼き」は有名なのでしょうか?
    生協ということですから、結構食べられているのかなぁ…なんて思ってしまったのですが。

    もし、分かりましたら教えて下さいませ。

    そういえば、蒸し麺を使っていて、肉カスをいれ、いわし粉をトッピング…など、ある程度の条件が満たされれば「富士宮焼きそば」は謳うことが可能なはずです。
    そのため、時々ですが、美味しくない「富士宮焼きそば」のお店もありますので…
    わざわざ東京から名物を食べにいらっしゃった、ともゆき様やみしぇる様が、美味しい宮焼きそばに出会えたようで、普段から焼きそばといえば宮焼きそばを食べている人間としてはとても嬉しいです。
    ぜひ、また本場の富士宮焼きそばを食べにいらしてくださいませ。

    突然のコメントの非礼、お詫びいたします。
    ご不快でしたら、削除してくださいませ。

    長文となってしまい、読みにくく申し訳ございません。

    追伸
    つけナポリタンは、富士宮市の東隣、富士市の新名物候補です。(市民にさえも、殆ど認知されていない「名物」なのですし、私も食べたことはありませんが、セブンイレブンで「つけナポリタン」を出そうとしていたり、盛り上げようという気持ちだけはあります←セブンの件は、実現するかは未定です)

  5. いばらさん

    コメントありがとうございます!

    富士宮焼きそばは、東京でも名前は有名ですが、食べられるお店はほとんどないです。
    なので、シマダヤの製品が初体験という人は多いのではないでしょうか?

    しぐれ焼きは、ほとんど知られていなくて、先日TVのケンミンショーで取り上げらたときは、当ブログのアクセスが跳ね上がりましたw。

    うちは家族みんな富士宮やきそばのファンなので、「また、行こうね」と言っています。
    おすすめのお店がありましたら、教えてください。

  6. ご丁寧なお返事と情報をありがとうございます。
    ブログのアクセス数に関しても、跳ね上がったということでおめでとうございます。
    静岡県の食品を紹介していただき、本当にありがたいことだと思います。

    やはりまだ知名度だけで、食べられるお店は少ないのですか…。
    商標使用のための受講料(3万5千~4万円)と拘束期間の長さ(3日間、宿泊可)が障壁となっているのかもしれませんね。富士宮の歴史・文化なんかを習うらしいです。笑

    シマダヤというのは製麺会社ですか?
    ロイヤリティー契約のため、今日会社で焼きそば学会のホームページを調べてみたのですが、指定製麺会社でないのが気になりましたが…そちらも「富士宮焼きそば」なんですね。

    お店で言いますと、『虹屋』さんが美味しいらしいですよ。
    (休みの日に調査に行くばずが、寝てしまい、まだ私は食べていないのですが)上司のオススメです。
    富士宮の西端、清水銀行野中店の近くです。
    少し奥まったところにありますので、カーナビか事前調査が必要だと思います。

    それから、セブンイレブンで確か「富士宮焼きそば」を高岡屋さんが出しているはずです。しぐれ焼き、は…まだ出ていませんね。
    ローソンでも、「富士宮焼きそばロール」が出ていますが、あれはちょっとオススメできません。

    私のオススメは、やはり『マルモ』の蒸し麺です!
    マルモさんは富士宮焼きそば学会指定の製麺会社ですし、オリジナルソースも出しておりますので、簡単に美味しい富士宮焼きそばが作れると思います。

    もしまた、富士宮にいらした際には、適当なスーパーにお立ち寄りくだされば
    バラから取り揃えていますし、お土産として購入なさってはいかがでしょうか?
    もちろん、アオサ・いわし削り粉や肉カスも同じ棚に置かれていますので、本格的に作れます。
    (ただし、夜になると売り切れていることがよくありますので、ご注意ください)

    またまた乱文、長くなってしまい申し訳ありません。
    暑い日が続きますので、ご自愛くださいませ。

  7. いばらさま

    ともゆきです。多忙のため、お返事が遅れて失礼しました。
    いろいろ詳しい情報をご提供いただき、ありがとうございます。
    また、富士宮を訪れた折りには、「虹屋」さんを訪れてみたいです。あと、スーパーにも行ってみます!

    秋になったら、行きたいけど、どうかな〜(笑)

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