「だんだん」と「けいおん!」:音楽の楽しさ

4月 30th, 2009

 昨日(4月29日)、NHKで連続テレビ小説「だんだん」のダイジェスト版の放送を偶然見た。マナカナは嫌いではないし懐メロも好物なのだが、どうにも萌えない。なにより、主題である音楽へのこだわり、音楽の楽しさが全然伝わってこない。あまりにステレオタイプなストーリーと演出と演技を見ていると、年々連続テレビ小説の視聴率が下がるのも当たり前だと思うのだが、それとは別に音楽をテーマにした番組でここまで音楽の楽しさが伝わらないのは、モノ作りに何か構造的な欠陥があるのではないか、と思ってしまう。

 僕は影響されやすいので、映画『スイングガールズ』を見たときはジャズに興味を持って「サックスやってみたいな」ぐらいは思った。いまは、アニメ『けいおん!』を見て自分も「ギターやってみたい!」と思いつつ、娘のさくらにも見せて、「ねえねえ音楽を習いたくならない?」とけしかけている。姪のコトちゃんがピアノをやっているので、将来2人でけいおん!みたいなガールズバンドをやってほしいと勝手に思っているのだが、「アニメは面白いけど音楽はやらない」と返事はすげない。それはともかく、だんだんには、けいおん!みたいな、音楽の魅力を伝える力が希薄だと思うのだ。

 けいおん!というのは、女子高の廃部寸前の軽音楽部に集まった4人の少女の部活ライフを描いたTVアニメなのだが、4月の番組開始以来、人気急上昇中。奥さんによると、先日のMステでも主題歌2曲が同時にランクインしていたそうだし、オリコンでもデイリーで1位、2位を独占、週間チャートでも「Don’t say “lazy”」が2位、「Cagayake!GIRLS」が4位に入った。


Cagayake!GIRLS(初回限定盤)(桜高軽音部)

【神は細部に宿る】

 実は、このお話って、楽器を買うためにバイトをする話とか、追試で部活できない話とか、夏合宿に行ったら練習するのを忘れて遊びほうけるとか、余計な話が多くて、マジメに音楽をやっているシーンはあんまりない。それでも、けいおん!みてギターを始める人が急増中、というのは、作品に音楽に対する細かいこだわりがギッシリと詰まっているからだろう。

 昔は、アニメの楽器演奏シーンなんて、適当に弾いているように見えればいいという感じだったけど、最近は、あるていど曲に合わせて運指している作画も見られる(音楽に詳しくないので違うのかもしれないが、少なくとも指が弦を弾いたり、ドラムを叩くタイミングはかなり合っているように見える)。伝説的な『涼宮ハルヒの憂鬱』ライブアライブのバンド演奏シーンがそうだし、同じ京都アニメーションが制作するけいおん!のOPアニメでベースの澪がみせる指使いは、もはやセクシーといってもいいほど印象的だ。

 スイングガールズでも、上野樹里や貫地谷しほりや平岡裕太ら出演者全員が楽器をイチから特訓してクライマックスの演奏シーンを吹き替えなしで演じたのは有名な話だが、膨大な時間と手間をかけて、それをやったからこそ、あの感動があった。アニメだろうが、実写だろうが、「なんで、そこまでやるの?」くらいのことをしないと、本物のライブのような躍動感は表現できないということなのだろう。ちなみに、けいおん!でも、主人公4人を演じる声優さんたちが、実際にバンドを組んで練習を始めた。スイングガールズのように、実際にライブ演奏をするようになったら面白い。

 けいおん!では、ギターやベースなどひとつひとつの楽器だけでなく、毎回部活中に行われるティータイムの茶器までマイセンやウェッジウッドの実在する製品が描かれている。「パラノイアだけが生き残れる」というのはインテル創業者アンディ・グローブの名言だが、まさに細部にわたるこだわりが、事件らしい事件もおきない平凡な女子高生の日常を描いたけいおん!の人気を支えているのだと思う。


Don’t say“lazy”(初回限定盤)(桜高軽音部)

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