珍しく、公開日に映画を見た。それも親子で。話題の映画『ヤッターマン』だ。
まず、最初に言っておく。子供に見せるのは、ちょっとヤバイ。エロいのだ。我が家も含めて、小さな子供連れが映画館にはたくさんいたが、「シマッタ!」と心の中で舌打ちした親御さんも多かったと思う。
ウチは日頃から一部の深夜アニメ(録画 or DVD)を一緒に見てるくらいなので、いまさら騒がないけど。ただ、映画が終わったあと、奥手で純な息子が、いきなり「オッパイ」の話から入ったことを考えると、子供に与える影響は甚大だったと思う(上映前に「オッパイバレー」の予告もやっていたしなー)。
でもまあ、エロいといっても、昭和のTV番組程度のエロさ(+お下品)なんだけど。オッパイマシンガンとか、オッパイミサイルとか、ドロンジョ(=深田恭子)のシャワーシーンとか。実は書かないけど、見ようによっては、もっとエロいシーンもあります。お父さんはご期待くださいw。
で、感想だけど、面白かったとか、つまんなかったとか、とは別の次元でメチャ感心した。それは、作品のもの凄い作り込み具合に対して。古今東西アニメやマンガを原作にした映画はヤマのようにあるけど、ここまでシッカリ原作を丸ごと取り入れながら、独立した作品として昇華させた例は、あんまりないんじゃないのかな? そういう意味では、『スパイダーマン』および『スパイダーマン2』と同じくらい作り手の熱さを感じた。
とにかく、原作(昭和版ヤッターマン)の主な要素はすべて取り込まれている。その忠実度は、現在のTVシリーズよりも上を行っている。メカとかセリフとかギャグとか歌とか、どれも、まさしくヤッターマンなのだけど、それをアニメではなく、実写で破綻なくやるのは、もの凄く大変なことだと思う。スタッフや役者さんの入れ込み方が半端じゃなく凄いのだ。
「あんたたち、ドンだけヤッターマンが好きなの?」って聞きたくなるくらい。
役者の中では、ボヤッキー役の生瀬勝久とゲストキャラを演じた阿部サダヲが良かった。とくにボヤッキーは、ほんとにボヤッキーそのもの。ドロンジョもトンズラー(ケンドーコバヤシ)も、ドロンボー3人組はいずれも頑張っていました。阿部サダヲは、パンフレットのインタビューで「子供が、ちょっと泣いちゃうくらいの恐怖感が表現できれば」と述べていましたが、本当に上映中に泣き叫んでいる子がいました。娘のさくらも終わったあと、「コワカッた」と涙ぐんでいたし。トラウマになってTVのヤッターマンが見られなくなる子もいるかも。大成功ですね。
ちなみに、阿部サダヲの熱演シーン、僕は笑い転げていたんだけど、周囲はあんまり反応よくなかった。シリアスなシチュエーション+とんでもギャグというシュールな作りに観客がついていけてなかったのか? そりゃ、家族向けの毒のないアニメを期待していたら、ビックリして唖然としちゃうのもしょうがない。でも、昭和のヤッターマンを見ていた大人たちのために、あそこに秘められていた反骨精神、パロディ精神、アナーキズムを正しく受け継ぎ、作り直したのだと考えれば、みごとな正常進化だといえる。これは実写で作った大人向けアニメなのだ。
ちなみに音楽は、天才・山本正之 が劇伴も含めて、全面参加。ヤッターマンの歌も歌っていて、現在のTVシリーズが始まったときのうっぷんを見事にはらした模様。そういや、嵐がなんか歌っているけど、主題歌? なにそれ。オイシイの? つーか、ヤッターマン1号やらせるなら、嵐の中にもっと上手い役者が何人もいるだろうっ! とマジに思いましたが、奥さんに言わせると、櫻井翔は「アニメのキャラに顔の輪郭が似ている」からじゃないか、と。なるほど。
うーん、ほかにもいろいろ書きたいのだけど、ネタバレになっちゃうから書けない。とにかく、メカもアクションもギャグもお色気も、盛りだくさんでサービス満点。それだけは保証する。
あと、映画のパンフレットの出来が凄くよい。800円とちょっと高めなのだけど、平綴じでページ数も多いし、全ページにギッシリ情報が詰まっている。内容もよくある公式見解的なものだけでなく、作品内容に突っ込みを入れるようなキャプションがあったりして、ノリが良い。思わず、「誰が作っているんだろう?」と奥付を確認しちゃいました。イヤ、本当に作品に対する愛が満ちていて、感心しちゃいましたヨ。
もう読みました、ありがとう