矢印ミステリー
2月 23rd, 2009
【ゴールはどこ?】
昨日の日曜日、直也と奥さんは風邪で寝込んでいた。退屈したさくらが、先日生協で買ったろう石で、家の前の道路に絵を描きたいと言うのでちょっと付き合った。
ろう石で道路に描くなんて、子供の頃もやったことなかったので、ちょっと楽しい。

玄関から奥さんが顔を出し、「ごめん、買い物も頼める?」と言うので、大岡山の東急ストアに向かって、さくらと二人で出発。
「あれ?」
家を出てちょっと先を曲がると、道路に大きな矢印が描いてある。

「なんだろうね」「さくらは、描いてないよ!」「うーん、誰が描いたのかな?」
矢印は一つではない。数メートルおきに僕らを導くように続いている。
大岡山の駅前に出るには、東工大の中を斜めに突っ切るのが一番早いのだが、問題の矢印は東工大の脇の坂道をずっと上っていく方向に続いている。
「どこまで続いてるんだろう?」「ついてってみる?」「いいの!?」「遠回りだけど、大岡山方向だからね」
坂道を登り切ると、大岡山南口商店街の端にぶつかる。そこで左折した先が大岡山駅だ。しかし、残念ながら矢印は商店街をすぐ右折して、その先に伸びている。

「どうする?」「行ってみる!!」
矢印が向かっているのは、洗足池の方向だ。のどかな日差しの下、矢印は瀟洒な住宅街を導き、ついに洗足池に突き当たった。

「あれ、矢印は?」「ここで終わり? ゴールかな?」「あ、まだある!」
矢印は、洗足池の周りを少しだけ回り込んで、さくらと直也が幼稚園前に通った大田区の児童館の前で終わっていた。その隣にはサッカーや野球で使う区営のグラウンドがあるが、今日は誰もいない。

そのまま、池の周りを回ってみるが、もう矢印はなかった。やはり、児童館前が終点らしい。
自販機でジュースを買ってベンチで一休みしたあと大岡山東急ストアまで買い物に行き、帰りは東工大の中を横切って帰った。
【スタート地点は?】
「あの矢印なんだったんだろう?」「誰かがグラウンドまでの道を教えるために描いたんじゃない?」
「どこから?」「スタート地点を探してみたい?」「うん!」
さくらは自宅に着くなり、「お母さん、たいへんなの! 矢印が描いてあって、スタート地点を探さなきゃ!」とまくしたて、荷物をほっぽりだして、家の近所から矢印を今度は逆にたどる。
矢印は、呑川ぞいをずっと上ってきていた。下流には、石川台中学校(通称、イシチュウ)や東玉川小学校(通称、ヒガタマ)がある。
「たぶん、イシチュウからグラウンドまでの道を示していたんじゃないかな? イシチュウは大田区で、ヒガタマは世田谷区だから」
娘にはちょっと難しい話だが、隣り合って建っている石川台中学校と東玉川小学校の間の道路が区界なのだ。我ながら合理的な推理。この探偵遊びも、もうすぐ終わるぞ。
「あれ?」矢印は、イシチューの正門の前を通り過ぎている。
「そっか! ヒガタマの野球部とセンショウ(洗足池小学校)の野球部は、ときどき試合するって言ってたぞ。じゃあ、ヒガタマの小学生を誘導するための矢印なのかな?」
「そうなの?」「そうだよ。今度こそゴールだ。矢印は、ヒガタマの正門から始まっているはず」
ところが、ギッチョンチョン。矢印はヒガタマの正門の前の横断歩道を越えて、さらにその先から続いていた。
この地域は、大田区と目黒区と世田谷区の区界が複雑に入り組んでいる。矢印は再び大田区に入っていく。
「あれー! どうする?」「行ってみる!」
さくらは、普段は歩くのが苦手で、すぐ「疲れたー、長いよ」とか言うくせに、今日はやけに頑張る。
歩きながら、「マサくんとヒロくんの家はここだよ!」などと教えながら歩むが、道はどんどん狭くなっていく。
そして、団地(雪が谷アパート)に続く曲がり角で、矢印は唐突に終わっていた。その先は広くて長い道が続いてる。しばらくその道を探してみたが、矢印はなかった。
直進が続くから矢印が省かれているのか? しかし、洗足池周辺では直進路でも、曲がり角ごとに矢印が描かれていたのに。だいたい、この先には学校とかの施設はないはずだ。
「うーん、どういうことだろう?」
「きっと、ココがスタートなんだよ! 絶対そうだよ!」と言う強引なさくらに負けて、そこがスタート地点ということになった。いい加減疲れたし。

帰り道、さすがにさくらが「疲れた」というので、イシチューの前の公園で一休み。お茶を飲んでいると、左から自転車に乗った小学生女子のグループが、右から男子のグループが入ってきた。男子の一人が、女子に声をかける。
「洗足池マラソン何位だった?」「53位」「俺は48位!」
思春期の始まりを思わせる甘酸っぱい感じ。いいね〜。
そう、この日の朝9時から、太田区内の小学生が参加する「洗足池マラソン」という行事が行われていたのだった。すると、あの矢印はそこに参加する小学生のために描かれたものだったのだろうか? それにしてもスタート地点が謎だ。あの道の先には、なにもないはずなんだが。
今回の「矢印」マップ

こうやって見ると、けっこうな距離だ。この日、大岡山への買い物も含めると約5キロメートル歩いたことになる。
なんだ、こんなに歩けるんじゃん! 今度から「疲れた〜、歩けない〜」と言っても信じないぞ!>さくら
(笑)








