この冬、ドラマメイちゃんの執事とアニメWHITE ALBUMを、毎週「なんだかな〜」といいながらもついつい見てしまっている。惰性なようで、微妙な中毒性。
メイちゃんの執事は、両親が事故死したあと、自分が超のがつくスーパーお金持ちの跡取りと知った平凡な女子高生が主人公。突然入学させられた、あまりにも非日常的なお嬢様学校での冒険を描く。学園の広さは東京都の三分の一で、移動手段はヘリコプター。生徒ひとりひとりにイケメンの執事がつき、学費は月1億円という、ただヒタスラに馬鹿らしい状況設定。主人公の東雲メイ(熒倉奈々)を支えるなんでもできちゃう万能スーパーイケメン執事を、いま若い女性の人気No.1といわれる水嶋ヒロが、その弟を人気急上昇中の佐藤健(たける)が演じている。ちなみに水嶋ヒロは仮面ライダーカブトで、佐藤健は仮面ライダー電王なので、ボディーガードとしては史上最強の兄弟だ。ほかにもゲキブルーや仮面ライダーイクサも執事をやっている。昨年の堀北真希主演のイケメンパラダイスにも、大量のイケメンヒーロー役者が出演していた。主人公のクラスメートの女の子たちもグラドルとか、CMでよく見かけるアイドルたちがずらっと並ぶ。
まあ、こういうのって昔からよくあるパターンなんだけど、今の若い役者さんは、手足が長くて顔が小さく瞳が大きくて、まるでマンガやアニメから抜け出てきたかのよう。昔のマンガ原作ドラマって、マンガ本編とは別物って感じだったけど、今は忠実に再現するのが当たり前になった。それも日本人の体形が漫画に近づいてきたから可能になったのかもしれない。というか、水嶋ヒロと熒倉奈々の手足の長さは、アニメすら超えている気がする。
いっぽう、WHITE ALBUMは、懐かしい80年代を舞台に、心優しいノンポリな大学生たちのあいまいな恋愛ライフを描いた、昼ドラの題材になりそうな作品。原作は過去にヒットしたギャルゲー(恋愛シュミレーションゲーム)だそうだけど。
こちらは、『メイちゃんの執事』とは真逆に、「なんでアニメでコレやるんだ」というくらい、アニメ的な見せ場はいっさいない。止め絵やモノローグを多用して、優柔不断な主人公達のスレ違いと悩みに満ちた恋愛をしっとりと描く。(ケータイもネットもない時代の話なのだ)。オープニングも、抽象的な背景にスタッフ/キャストが表示されるだけ。水樹奈々が歌う主題歌も含めて、ほんとに昼ドラっぽい。
主人公の青年は、高校時代からの恋人が新人歌手としてデビューすることになって、事務所の先輩のトップアイドルから誘いをうけたり、恋人との仲を裂こうとする担当美人マネージャーから誘惑されたり、大学やバイト先でも次々と出会いがあって、バラ色の優柔不断恋愛ライフというか、ドロドロの予感というか。まさに昼ドラでしょ?
で、主人公の周りを彩る女性陣は、平野綾(涼宮ハルヒの憂鬱)、水樹奈々(代表作って何?)、戸松遙(かんなぎ)という、歌手としても売れている人気アイドル声優をずらっと並べて、アニヲタ的には夢の共演状態。
マンガ化した実写ドラマの『メイちゃんの執事』、昼ドラ化したアニメの『WHITE ALBUM』。ドラマもアニメも視聴者層が変化してきてこうなったのか、単に作り手の趣味なのか?
ちょっと、面白いなと思った。