「w」の悲喜劇

12月 18th, 2008

 自分で自分の言葉に笑っちゃうことはときどきあるが、これはちょっとマズイのでは? と一瞬思った。

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やっぱ、自分たちで自分たちの技術を「高度」って言い切ってしまうことにちょっと気恥ずかしさを感じてしまったウェブマスターが、ついつい2ちゃんに書き込むノリで「w」の一文字を入れてしまったのだろうか?

これは、12月18日現在、ダイマルのショッピングサイトhttp://dmall.jp/に表示されている。

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(中略)

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 ちなみに、かつては出版物で「(笑)」を表すマークとして普遍的に用いられたのは、「写植記号 BA-90」だった。

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●亮月製作所・記号BA-90●

この印象的な記号は、漫画好きの方や昭和50年代までに生まれた方なら一度は見たことがあるかも知れません。

 この記号が生まれた経緯はよく知られていません。収録されている「BA(飾り罫・地紋)」というサブプレートを見ると、(C)写研 ’68 と記されていました。書体の種類が少なかった1968年にはもうこの記号が存在していたのです。手動写植機の円熟期である1980年代には、雑誌や漫画の台詞などに頻繁に使われていました。写研の電算写植機にも「一般記号 SAA1-244」として登録されているのですが、やはりDTPの普及によってあまり見かけなくなってしまいました。

 僕がヒヨっこ編集者のときは、まだDTPの勃興期で、月刊アスキー編集部では、社内のデザイナーさんがMacのPageMakerでデザインを作成してレーザープリンターで印刷。それにDOSのテキストを収めたフロッピーディスクと指定紙をつけて写植屋に発注するという、今から見るとちょっとヘンテコな作業を行っていた。

 で、原稿に「(笑)」と出てくると、編集者かデザイナーが赤ペンで「記号BA-90に」と指定を入れていた。

 約10年後、DTPが当たり前になった時代のこと。どっかの古参編集者だかライターが、DTPのゲラ刷りに「記号BA-90に」と指定を入れてきた。だけど若いデザイナーくんが理解できなくて、「これ、何ですか?」と聞きに来た。そこで昔使ってた写植記号表を見せて説明し、DTPでBA-90が出せるのか調べたのだけど、そのときは「できない」という結論だった。上記で引用したページでは、DTPで利用する方法を紹介しているけど、面倒な方法なので、わざわざやる人は少ないだろう。

 いまでは、BA-90を使わず、ワープロの原稿通りに(笑)とするのが、一般的になっている。

 では、「(笑)」が「w」一文字に省力されるようになったのは、いつ頃だろうか?

 推測だが、まず2ちゃんねるあたりで「(笑)」の後ろのカッコをとって「(笑」と省略することが習慣化したのだろう。

 さらに「わらい」と打って「笑い」と変換し、最後に「い」をバックスペースで削る、という面倒な作業を省力するために「(藁」という当て字が通用し始めた。さらにそれも省力されて「(w」となり、現在では前の括弧も省力して「w」一文字で記号BA-90と同等の意味をなすようになった。

 ワープロの原稿をわざわざ紙に印字して、赤ペンで記号を指定していたことを考えると隔世の感がある。これぞIT革命だ。

 この文化はネットから紙へ逆輸入され、いまではカジュアルな出版物なら「w」を見かけることもある。そしてネット上ではさらに革命が進み、真面目なSSLの説明にまで「高度w」と使われるようになったわけだw

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