ブロガーによるPR(株式会社サイバーバズ・インタビュー)
8月 3rd, 2008
優れたブロガーを発掘して口コミマーケティングに繋げる
ネットビジネス新流儀 No.01
株式会社サイバー・バズ代表取締役社長宮崎聡氏
(月刊アスキー2007年5月号掲載)
従来のマスメディア広告に代わる、バズ(口コミ)マーケティングと呼ばれる手法が注目を集めている。口コミの重要性は以前から着目されており、特定地域や特定層に向けたPRと調査の機能を提供する企業は存在する。しかし、ブログやSNSの利用者が3000万人時代に突入し、CGMにおける口コミの波及スピードがクローズアップされた結果、さらに注目が集まり、ブログやSNSを使った口コミプロモーションを行う企業が登場している。中でもサイバー・バズはいち早く意欲的に事業を進めている企業だ。
マスとしてのブログではなくインフルエンサーに着目
ブログを使った口コミプロモーションには2つの手法がある。1つはブログの「規模」を利用するもの。ブロガーなら誰でも容易に参加でき、ブログに記事を載せる対価として報酬を支払うペイドブログ型だ。もうひとつは「ハブ」「インフルエンサー」と呼ばれる影響力の強いブロガーに的を絞った手法。ネット以前から、こういった存在が商品のヒットや流行に大きな影響を与えることは知られていた。しかし、インフルエンサー型のブロガーを世の中に影響を及ぼせる数だけ確保するのは簡単な話ではない。
しかし、サイバー・バズは設立10カ月にして800名ものブロガーを確保したという。参加資格は1日1000ページビューという目安に加え、そのブログの35項目にわたるインフルエンス(影響)の度合いによって決まる。なお、ブロガー集めの基本は一本釣りだという。これはというブロガーには直接勧誘を行う。親会社のサイバーエージェントが運営するアメーバブログだけでなく、ほかのブログ運営会社にも提携を呼びかけて連絡をとっている。ただ、最近は自薦/他薦で申し込んでくるブロガーもかなり増えているという。
宮崎氏によれば、前出のペイドブログ型サービスも含めると、競合はすでに30〜40社にもなるという。その中でも、サイバー・バズは50パーセント以上という圧倒的なクライアント企業のリピート率を誇るという。その強さの秘密は緻密なブロガーの組織化と詳細なレポーティング能力の高さにある。サイバー・バズの参加ブロガーは6段階に段階分けされ、参加成績や記事の影響度によって毎月ランクが変わる。ブロガーがプロモーションに参加すると、掲載されたブログをサイバー・バズ社員が実際にチェックし、同時にブロガーはアンケートで報告する。さらに独自の記事内容分析技術を使って口コミの広がりをチェック。これらを合わせてクライアントにレポートを提出する。同時に参加ブロガーにタグを付けて分類することで得意分野を絞り、商品やサービスをより適切なブロガーに届けられる仕組みになっている。
ところで、サイバー・バズのビジネスはブログを媒体とした広告代理店なのだろうか? それともブロガーを相手に広報活動を行うPR会社なのか?「その中間でしょう。米国ではBR(ブロガー・リレーションズ)という言葉が頻繁に使われるように、企業は先進的なブロガーと良好な関係を築くことに真剣に取り組み始めています」という。ただ実際の業務では「既存代理店とぶつかることも多い」そうだ。
ビスタの魅力を発売前からブログで広める
今回は一事例としてウィンドウズビスタのプロモーションを紹介しよう。マイクロソフト側の依頼で、サイバー・バズは「特定の分野(スポーツ、コスメなど)で活躍しているが、パソコンライフは堪能しきれていない」ブロガーを抽出。発売前にマイクロソフトが作った広報拠点にブロガーを招待し、タッチ&トライを開催した。さらにプリインストールマシンを貸し出し、その体験を発売前に書いてもらったり、感想を詳細にフィードバックしてもらうことで、今後の製品やユーザーとのコミュニケーション戦略に活かすという。また、ブログに書いてもらう場合は「サイバー・バズの企画で」と明記してもらうことで「ヤラセ」疑惑による〝炎上〞を避けているという。
この例のように、参加ブロガーにとっては「発売前に貴重な体験ができる」「マイクロソフトのような先進的な企業から招待される」というのは無二な体験で大きな喜びとなる。宮崎氏は金銭的な報酬よりも、こういった体験こそが、なによりの報酬になると考えており、今後はサイバー・バズに参加するブロガーがより脚光を浴びる機会を増やすつもりだという。ブロガーの動機付けを現在のネット文化にフィットさせた点こそ、強さの秘密だろう。
宮崎さんに聞く
入社2年で企画書を書いて、半月で会社を設立
―出身は?
1980年生まれで姫路出身です。最近ネット起業家が集まっている層として「ナナロク世代」「ナナキュー世代」という言葉がよく使われますが、それより下になります。今度は「ハチマル世代」をリードしたいと考えています。
―ブログの口コミに注目したのは?
大学卒業前の2003年10月にサイバーエージェントの西日本支社で働き出して、2004年冬頃から大手家電メーカーの企業ブログプロモーションすべてを担当したのがきっかけですね。
―ブログが流行りだして間もない頃ですね?
ライブドアブログを初めとする、いくつかのサービスが立ち上がり出した頃ですね。自分でやってみたら、人がどんどんつながるのがおもしろくて。
―会社を設立したきっかけは?
2005年秋頃からサイバーエージェントの社内で、バズが注目されたので、2月に自ら手を挙げて、3月14日に事業計画書を提出して、4月に会社を設立しました。
―現在、会社の規模は?
約20名。半分がプランナー、残り半分が人気ブロガー向け媒体の運営側です。
―今後の展望は?
ネットを軸足に、口コミがよりリアルにまで浸透する仕組みを提供していきたいですね。
(後日談など)
この記事は、月刊アスキーの連載「ネットビジネス新流儀」の第一回の掲載原稿です。
写真や図版は公式ページに掲載されています。そちらをご参照ください。
このインタビューの最中、宮崎さんが「クチコミの力」を本当に信じていると強く感じました。当時はブログPRといってもブロガーにクチコミの対価として金銭を払っているものが目立っていました。そのなかで宮崎さんは「金銭ではなく体験がインセンティブ」という立場を一貫してとっていました。
サイバー・バズはこのインタビューのあと急成長しました。約1年後にインタビューに行くと、「うちはもはや単なるブログPRの会社ではない」「日本で唯一のバズマーケティングの会社だ」と胸を張っていました。
「バズマーケティング」とは、人々の話題になるように、リアルとネットを問わず、イベントをしかけていく会社です。米国のバズマーケティングについての本には、話題作りのためにある街の名前を変えてしまうというキャンペーンが紹介されていました。
こういう常識外れのイベントを仕掛けると、お金をかけなくても自然とマスメディアが面白おかしく報道し、それを知った人がまた面白おかしく「アレ知っている?」と周囲に伝えていくことで、コストパフォーマンスの高い告知が行える。
そういう起爆剤となるイベントをしかけて、ブロガーやリアルを使ってPRを行う会社に成長したというのです。
これによって、クライアントから受ける仕事の単価も一桁あがったといいます。もともとサイバーエージェント社でナショナルクライアント向けの営業をやっていたというだけあって、事業をうまくスケールアップしたセンスはさすがだと思います。
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カテゴリー: IT技術、業界








