AppleがPower PC互換チップメーカーを買収した本当の意味

4月 25th, 2008

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米Appleが低消費電力プロセッサの米PA Semi買収へ – 米Forbes報道 | パソコン | マイコミジャーナル

米Appleがプロセッサメーカーの米PA Semiを買収したと、経済誌の米Forbes(オンライン版)が4月23日付けの記事で報じている。

 買収総額は2億7800万ドル。ちなみに、1997年に買ったNeXT社が4億ドルだったはずだが、今回は全額キャッシュで支払ったそうで、さすが絶好調の会社は違う。
 Appleは、お買い得の企業や技術を買収して自社製品のラインナップを拡充してきた。Mac OS XはNeXTのOS「NEXTSTEP」が元だし(おまけでCEOも付いてきた)、iTunesはキャサディ&グリーン社のMP3プレーヤー「Sound JAM MP」を、Final Cut Proはマクロメディア(現アドビ)の同名のソフトを、LogicはEmagic社の同名ソフトを買収して自社製品とした。ほかにもハリウッド向けの特殊効果合成ソフトのShakeとかDVD作成ソフトとかも買ってきたものだし、それらの技術がMacを買うと標準で着いてくるiMovieやiDVDやGarage Bandといったソフトにも応用されているはずだ。

本当にiPhone/iPod向けなの?

 今回買収したPA Semi社は、ファブレス(自社工場を持たない)のCPUメーカーで、超低消費電力技術に優れていることから

だがAppleが低消費電力を強みとするプロセッサメーカーを買収したことで、今後同社は携帯機器などの低消費電力を求められる分野ではIntelのAtomではなく、PA Semiの製品を選択する可能性が強まったといえるだろう。

と書かれている。要するに、iPhoneやiPodのプロセッサがPA SemiのPower PC互換チップを採用することになるんじゃないかと、言いたいわけだ。

 でも、リンクされている記事も含めて読むと、

  • 指導層はかつて世界最速を誇ったDECのRISC CPU「Alpha」を作った人たち
  • そこに集まったのはItaniumやOpteronやUltraSPARCなどサーバ向けのハイパワーCPUを作った技術者たち
  • 作っているCPUは、Power PC 970(=G5)互換。
  • デュアルコア、2GHzで7Wという超低消費電力プロセッサを2006年に出荷済み
  • しかも16コアまでスケールさせることができる。

これ、本当にiPhone向けプロセッサですか?

 CNETの記事も疑問を呈している。

アップル、省電力チップ設計会社P.A. Semiを2億7800万ドルで買収–米報道:ニュース – CNET Japan

iPhoneはARM命令セットに基づいたサムスン電子製のチップを採用している。発売からわずか1年でARMの低電力ロードマップに何らかの問題が発生したと思われることから、iPhoneのOS XオペレーティングシステムをPowerに移植しなければならないとAppleが考えているというのは、かなりのこじつけのように思われる。

Macではない

 2006年にAppleは、Intelプロセッサにスイッチして大成功した。
 米国市場では前年度比32パーセント増しで急成長しシェア6%、東芝を抜いて4位に到達。この勢いはもっと続くだろう。
 IntelプロセッサになったことでWindowsも同時に使えるようになり、性能面でのビハインドもなくなった。Macじたいの魅力も増しているが、ネガティブな要素がなくなったおかげでデスクトップPCやノートPCの市場でMacが売れるようになったことは間違いない。
 だから、今後iMacやMacBookがIntelプロセッサから再びPower PCに戻ることはないと思う。

Xserveかも?

 Xerverとは、Mac OS X ServerというOSを搭載した、サーバ専用マシンだ。サーバ型Macと言い換えてもよく、なんとiTunesまで標準で入っている(なんで?)。
 用途はWebサーバや企業の部門内サーバ。存在理由は「Macなみに簡単なUNIXサーバ」なので、Windowsのソフトが動く必要はない。つまり絶対性能が高くて、かつ消費電力が少なければ、CPUなんてなんでもよい。
 しかも、いまのMac OS X ServerはIntelとPower PCのどちらでも動くUniversal Binaryだ。ソフトウェア面での心配はあまりない。
 PA Semiの16コア×2プロセッサ=32コアのPower PC互換プロセッサを積むことができるなら、面白い選択肢だけど決め手にかけていた Xserveに強い存在感をもたらすだろう。

 企業向けのハイパワーサーバは、いまも成長市場だ。Appleがサーバ市場でのシェアの拡大を狙うための武器としてPA Semiの技術を選んだ可能性はある。

AppleTVがゲーム機なる?

 Intelじゃなくてもいい製品がもう1つあって、AppleTVもそうだ。映画をダウンロードして再生するだけならハイパワーCPUなんていらないけど、かりにPlayStation 3やXBOX360みたいなHDゲーム機も兼ねるとしたらどうだろう? ご存じのように、WiiもXBOX360もPS3も、Power PC互換のCPUを採用している。
 ゲーム機の中心はDSやPSPのようなケータイ市場に移りつつあると言われているけど、Wiiのように居間における家族や友人団らんを作るコミュニケーションツールとしての据え置きゲーム機はまだまだニーズがあると思う。Macで机の上に、iPhoneで手のひらの上に居場所を得たAppleが、次に確保したいのはリビングルームじゃないだろうか?

ありそうな未来

 たしかに、PA Semiの低消費電力技術が将来iPhoneやiPodに使われる可能性はある。だけど、いまのところPA Semiはモバイル向けのプロセッサを発表したことはないようだ。
 また、Appleは買った技術や製品をバラバラにして自社製品に吸収するようなことはあまりしていない。そんなことをすると買収された側のプライドも、既存製品についていたユーザーのロイヤリティも失ってしまうから、賢明だと思う。結局、製品も技術も支えているのは人間の気持ちなのだ。

 とすれば、今のPA Semiの製品をあまりいじらずに活かせる分野、つまりサーバ機への応用が一番確実だと思う。
 
 ゲーム機分野への進出は、iPhoneで進出したケータイ市場の次の大きなコンシューマ市場としてありうる話だと思う。ただAppleは、ゲーム市場ではサーバ以上に実績がない。ハードだけでなく、OSの上にのっけるゲーム環境も必要で、それをiPhone OSのように内製する余裕がいまのAppleにあると思えない。

 というわけで、予言。PA Semiの技術を利用したApple製品が出てくる順番。

  1. ハイパワーサーバである次世代Xserve
  2. コンシューマゲーム機能を備えた次世代Apple TV
  3. ノートPCなみの処理能力を持つ次世代iPhone

 最後に、いま思いついたけど、AppleTVを低消費電力のホームサーバ化するという可能性もある。PA SemiのPA6Tって、そもそもルータ向けを想定しているし。

外れたらゴメン。

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