麻倉怜士が分析–HD DVDはなぜ負けたのか? 歴史的考察:レビュー – CNET Japan
「新世代、大容量ディスクHD DVDが製品として東芝から登場したのは2006年の春。登場から約2年という月日でその市場は幕を閉じた。大容量、ハイビジョン録画というコンセプトはBlu-rayと同様ながらも、なぜHD DVDは負けたのか? 麻倉怜士氏は、AV業界の規格戦争にまつわる3つの法則をHD DVDにあてはめ考察している。」
さすが、麻倉さん。非常に明解に分析している。
理由は3つ。
- 常に勝者は長時間メディアである
- いち時代を築いたメディアは新世代に継続しない
- 墨守の姿勢からは、新技術が生まれない
特に3つめが大事。
メーカーは、特許の旨みを知っているから、自分たちの権益を死守しようとする。
でも、そこで守りに入った瞬間に、本当に突き抜けたイノベーションは起こせなくなる。
盛者必衰とは、良く言ったものです。
「DVDまで振り返れば、CDと同じ12mm厚のソニーMMCDは、革新的な0.6mm厚のDVDに破れた。そして、革新的な0.6mm厚を実現した東芝が、新世代DVDにおいて墨守派となり、権勢永遠を目指し、同じ構造を継続した。
しかし、新世代DVDではソニーが革新的な0.1mmの大容量ディスクで攻撃、墨守の東芝HD DVDは粉砕された。」
SD対MMCDなんて、製品化以前の争いだったから、僕も忘れていましたよ。
そこで、これに相当しそうな過去の対決を表にしてみた。
用途 | 勝者 | 敗者 |
ホームビデオ | VHS | β |
カムコーダー | 8mm | VHS-C |
ポスト・カセットテープ | MD | DCC |
ビデオディスク | LD | VHD |
ポストLD&ポストCD | SD | MMCD |
ポスト5インチFD | 3.5インチ FD | 3インチ FD |
こうしてみると、CD、DAT、miniDVには、ライバルはいなかったんでしょうか?
ご存じの方がいたら、教えてください。
CDは、当時東芝がDAD(Digital Audio Disk)を開発していたのだけど、ソニーにすり寄った、んじゃなかったでしたっけ?
MMCDでは、逆にソニーが東芝(のDVD)に妥協した(符号化方法を取り入れさせるという、事実上の意味はないが、メンツだけは立つ方法)。麻倉さんはMMCDはDVDに負けた、って書いてますけど、そもそもMMCDは、少なくともまともには発売されてないんじゃなかったですか? 負けると思ったから事前にすり寄ったわけで、「負けた」という表現はどうなのかと思います。まあ、水面下の統一競争で負けた、という意味ではそうかもしれませんが、それは今回の、市場でガチンコ勝負して負けた、というのと同列ではないと思います。
いずれも事前に片方がすり寄ったのでうまく立ち上がった。ということを、東芝の人は本当によくわかっているはずなのに、今回はすり寄れなかったのは、やはりDVDの成功体験(とそのうまみ?)が大きすぎたのでしょうかね。
みしぇるさん
コメントありがとうございます!
>CDは、当時東芝がDAD(Digital Audio Disk)を開発していたのだけど、ソニーにすり寄った、んじゃなかったでしたっけ?
へー、やっぱ、東芝とソニーは企画技術で争う星の下に生まれたんですね。。
>MMCDでは、逆にソニーが東芝(のDVD)に妥協した(符号化方法を取り入れさせるという、事実上の意味はないが、メンツだけは立つ方法)。麻倉さんはMMCDはDVDに負けた、って書いてますけど、そもそもMMCDは、少なくともまともには発売されてないんじゃなかったですか?
そうですね。発売はされていないと思います。
たしかに、ほかの「勝ち負け」と一緒にするのは、妥当ではないかも。
まあ、コメントをまとめた記事みたいだから、そこらへんはアバウトかも。
>やはりDVDの成功体験(とそのうまみ?)が大きすぎたのでしょうかね。
やっぱ、一度天下を取っちゃうと、その快感が忘れられないとかw
当時、トップ会談までして破談になったのは、ビックリしました。
すみません、記憶をよく思い出してみると、
DADは東芝さんの独自規格ではなかったかも
しれません。
まあでも、この業界によくある「技術的に優れているものが
敗退する」というパターンが今回は踏襲されなかったのは
よかったです。
>すみません、記憶をよく思い出してみると、
なるほど。
DADという名前は、たしかに通称っぽいかも。
>まあでも、この業界によくある「技術的に優れているものが
>敗退する」というパターンが今回は踏襲されなかったのは
>よかったです。
はい。「技術的に優れている」ことが「売りやすい」に直結しないのが、
難しいです。
イノベータやアーリーアダプタは、技術的な部分に着目するけど、
マスであるフォロワーは、技術的な話題は面倒がる傾向がありますからね。