Candy Pop

何度見ても飽きないよくできたMADをもう1本。ニコニコ動画YouTube

アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」のキャラクターたちが、ヒップホップ・ソング「CANDY POP」に合わせて軽快に歌い、踊る。涼宮ハルヒのSOS団の構成が女3人+男2人=5人。CANDY POPを歌っているのは、姉妹ラッパーのHeartsdales+男3人組のSOUL’d OUT=5人。男女比が微妙に異なるのだけど、ボーカル4人を涼宮ハルヒ=Rum、朝比奈みくる=Jewels、キョン=Diggy-MO’、古泉一樹=Bro.Hiと割り当て、TVアニメの膨大なカットの中から歌詞の一言一言にあったシーンをつなぎ合わせ、まるでアニメの公式な劇中歌なんじゃないかと勘違いさせるほどに出来が良い。CANDY POPは、二組の男女の「友達? 恋人?」という微妙な関係が、4人のテンポの良い掛け合いのなかで語られていく。涼宮ハルヒの憂鬱も、5人の男女の、親密だがなかなか恋愛にまで発展しない奇妙な友情関係がひとつの軸になっている。2つの作品の共通項をうまく括りだして、つなぎ合わせることで、このMADは、新しい派生作品といえるレベルにまで昇華されている。もうひとつ感心したのが、大胆かつポップな編集と特殊効果。完成度の高いMADの多くは、単に「つなぎ」の妙で勝負している。この作品はそれに加えて、ポップアート風のスマイルマークやカラーバーが画面に緩急を加え、ラップのセリフも華やかなロゴとして画面狭しと飛び回る。元になったCANDY POPのPVも似たような雰囲気なのだが、MAD版のほうが遙かに細かく丁寧に、ラップの歌詞を映像化していることが凄い。HeratsdalesHeratsdales-Wikipedia)元の曲名は正確には、「CANDY POP feat. SOUL’d OUT」。メインとなっているHeartsdalesは、ニュヨーク育ちの帰国子女姉妹デュオ。2001年にASAYANからデビューし、2006年の9月に活動を終了している。妹のRumは、活動中に多摩美術大学に通い、絵本を出すなどデザイナー指向だったらしく、現在はニューヨークに戻って美術の勉強をしながら、活動をしている。一方、姉のJewelsのほうは、フリーのラッパーとして、SMAPの「弾丸ファイター」に参加している。RumのホームページJewelsのブログDVD付きのベストアルバム、『THE LEGEND』をamazonで購入してみた。一般的なヒップホップとはちょっとイメージが異なり、お金持ちのゴージャス姉妹による煌びやかな世界が展開していた。姉のJewelsがスーパーカー好きだそうで、PVにもフェラーリが何度か登場していた。CANDY POPは、Heartsdalesの中では異色作のようで、これはSOUL’d OUTのカラーが出ているからなのだろうか?CANDY POP以外で良いな、と思ったのはラストソングの「STAY」。もしかして、続けていればもっとメジャーになったんじゃないか、と思ってしまう。SOUL’d OUTSOUL’d OUT-Wikipedia)メインMCのDiggy-MO’とMC兼ヒューマンビートボックスのBro.Hi、トラックマスター兼キーボードのShinnosukeの3人によるユニット。まだ、彼らの作品は購入していない。というのも、どこから買っていいのか、迷っているから。中川翔子もSOUL’d OUTのファンで、「全曲覚えた」とブログに書いていた。Wikipediaを読んでいて、ちょっと印象に残ったのは、Diggy-MO’の“趣味は無い、とインタビュー等で訊かれるたびに答えることが多い。「やるべき事をやる前に趣味に熱中するような人はあまり好きではない」という発言もあり、曲の歌詞に同じような主旨を書いた箇所も見受けられる。”という部分や、Bro.Hiの“デビュー前には板前を7年ほどやっており、音楽活動と両立させていた。”という記述。若い人の生真面目な部分に好感を持つのは、オジサンの習性でしょうか?良いMADを生む土壌涼宮ハルヒは、良くできたMADが多い。前出のプリンセスチュチュのMADも素晴らしかった。両方ともTVアニメとしては、抜群にクオリティが高い作品だった。細かい脚本や演出のこだわり。作画の線の美しさ。セルの枚数的にも色数的にも、一昔前だと、予算に余裕のある映画でないと実現できなかったレベルだと思う。日本のアニメ制作の現場の悲惨さが指摘されて久しい。とくにTV作品は低予算と厳しいスケジュールの中で「生理的な限界を超えた」(安彦良和)セルの使い回しや、海外発注でなんとか作り続けていた。だから、今見ると、ガンダムもマクロスも、シリーズ内の質のばらつきが本当に酷い。そこから考えると、最近の作品は、とても高いレベルで均質化されている。アニメの制作のデジタル化。セルDVDやレンタルによる収益。そういったイノベーションが日本のアニメ制作の現場を少しずつでも変えているのだとしたら、良いことだと思う。良いアニメ作品が、良いMADを産みだし、それがネットを駆けめぐることで(僕のような)遅れてきた新しいファンを次々と呼び込んでいく。そこで生まれた利益が、また良い作品を作り出す。そんな生態系が生まれつつあるんじゃないか、と夢想する。

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ともゆき@zubapita

ともゆき@zubapita

作ったモノ 雑誌:月刊アスキー(デスク)、アスキー.PC(副編集長)、インターネットアスキー(編集長)、アスキーPCエクスプローラー(編集長) Webサイト:東京グルメ/ライブドアグルメ、映画を語ろう、本が好き 著書:「Twitter 使いこなし術」「facebook 使いこなし術」 最近は、株式会社ブックウォーカーにて、「BWインディーズ」をやってます。

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